『中西医結合雑誌社』を訪問して / 辰巳 洋
日本に来る前、私は中国中医科学院の『中西医結合雑誌社』に勤務しておりました。
この雑誌は、中医学の伝統を大切にしながら、西洋医学の知見を融合させる「中西医結合」の理念を提唱・実践する専門誌であり、国家レベルの権威ある出版物です。
当時、編集長を務めておられたのは、中国科学院院士であり、中国中医科学院学部委員、世界保健機関(WHO)伝統医学顧問、そして国家中医心血管臨床医学研究センター主任も兼任される陳可冀院士です。
訪問当日は、当時の同僚である沈青氏と共に編集部を訪れ、若くエネルギーに満ちた編集者の皆さんとも交流することができました。夜には、編集長を務めておられた陳可冀院士(95歳)、陳維養社長(93歳)、陳士奎会長(87歳)、そして私たち第一世代の編集者が再び集まり、昔話に花を咲かせました。驚くことに、陳院士と陳社長は今もなお現役で原稿の審査を続けておられます。陳会長も壇上で中医学と西洋医学の融合について精力的に講演をされています。
尊敬すべき先輩方は、まさに私の人生の鏡であり、目標であり続けています。
『中西医結合雑誌』の編集現場には、「人のために尽くす」という奉仕の精神が息づいており、精緻かつ厳格な編集業務に日々真摯に取り組む仲間たちの姿があります。お互いに助け合いながら、誤りのない誌面づくりを追求し、温かな雰囲気のなかで、家族のように働いていた日々が思い出されました。36年ぶりの再会。思い出が一気によみがえり、胸が熱くなりました。あの頃、30代前半だった私たちは、全盛期の指導者のもと、中西医結合の理念を広げるため、力を合わせて雑誌を作り上げていたのです。現在の私たちの平均年齢は79歳。こうして再び集うことができた奇跡に、ただただ感謝の思いでいっぱいです。
日本において、私が主宰する本草薬膳学院では、中医薬膳学の知識に加え、栄養素の計算や現代的視点を取り入れながら、実践的な教育と普及活動に取り組んでいます。これからも、あの頃に受けた情熱と志を胸に、一歩一歩進んでまいります。
(辰巳 洋)
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