疲弊した心身に東洋的な食薬で自分の起源を取り戻せるような安心感を感じ、薬膳を学ぶことを決めました。
中医薬膳師 通信教育コース 卒業
当学院:簡単な自己紹介をお願いします。
小塚さん:初めまして。小塚 千雪(こづか ちゆき)と申します。
日本で生まれ育ちましたが、仕事の都合で20年前に日本を離れて以来、いろいろな国で暮らしてきました。
13年前にアメリカ、ニューヨークに引っ越してきて以来、現在もニューヨーク在住です。
薬膳の勉強を開始したのは10年程前でした。当時も既に海外在住でしたので、中医薬膳師 通信教育コースで履修しました。
オンラインはまだ存在していなかった頃で、日本に一時帰国した際に教材を購入して海外まで持参し、課題を海外から本草学院に郵送で提出して履修していました。
思うように時間を捻出できず、通常2年で履修終了するところ4年もかかってしまいました。
薬膳の勉強を始めた時以来、国際薬膳師の試験を目標としていましたが、通信課程修了時は自分の知識に自信が無く、仕事の忙しさを理由に受験を先延ばしにしておりました。
ようやく今年(2025年)4月に国際薬膳師試験を受験し合格できました。
当学院:薬膳を学ぼうと思った動機、きっかけを教えてください。
小塚さん:子供の頃からの夢だった海外勤務となり、目標に向けて邁進していたものの、様々な要因が重なり、健康を害しました。
今思い返せば、自分で自分を追い詰めた結果、自分の限度を超えて頭も体も酷使していたのだと思います。
休暇で日本に一時休暇した際、日本で勤務していた当時の職場の先輩から食べ物を変えたら体が楽になったと聞き、自分も食生活を改善しようと決意しました。
そのために何を勉強すべきか探した際に、薬膳のことを知りました。海外勤務で疲弊した私にとり、東洋的な思想に基づいた食薬に、自分の起源を取り戻せるような安心感を感じ、薬膳を勉強することにしました。
世界一忙しく物価が高い都市といっても過言ではないニューヨークで暮らしていると、日常の食事は二の次になりがち。
学びを日常生活に生かすまでには紆余曲折がありましたが、今は楽しく日常に取り入れています。
当学院:日本に薬膳を学ぶ学校は増えていますが、その中でも本草薬膳学院を選んだ理由、学院ならではの魅力は何ですか。
小塚さん:海外在住だった私にとって、日本で学校に通うという選択肢は不可能でした。
学習を始めた当時(10年前)はオンラインはなく、本草だけが通信課程を展開されていました。本草学院の先生方も教材も素晴らしく、付け焼刃ではない、本物の知識を取得できる点は、本当にありがたいことと感じています。
履修中の提出課題、最終課題を何度か再提出したことも、今となっては良い思い出です。こうして丁寧に指導していただけた先生方のおかげで、通学でなくても最後まで履修できましたし、国際薬膳師合格までこぎつけられたました、今でも、中医学の教科書を毎日見返しますが、その度に理解が深まり、勉強の面白さを日々感じています。
巷では、短期で資格取得を宣伝する学校も増えてきていますが、本当の目的は資格ではなく理解を深め実践を積み重ねること。本草学院での勉強は、そのための強い土台となり、最適な選択でした。
当学院:学習の中で最も印象深かったことはどんなことですか。
小塚さん:中医学、薬膳学を学んでの個人的な感想ですが、1.中医学は医学のみならず哲学的な側面も持ち合わせる点 2.スクーリングで辰巳先生が黒豆餃子を作られた際の手捌きです。
中医学の教科書を最初に一通り読んだときは、様々な興味をそそられたと同時に、なんて掴みどころのないものに手を出してしまったのだろうかと、愕然としました。
欧米の学問体系、教育システムで慣れ親しんだ学習体験とは大きく異なり、勉強の最初の頃は、教科書を何度読んでも明確な理解が得た感触を得られませんでした。
少しずつ蓄積を得ながら、中医学の根底にある東洋的な思想哲学についても理解を深めることができ、世界4大文明の一つを担った中国文化の偉大さを感じます。
中医薬膳師の通信教育コース履修中に参加したスクーリングでは、先生方による対面での講義、調理実習等、通信学習だけでは得られない体験をできました。
調理実習のメニューの中に、黒豆餃子がありましたが、辰巳先生自ら、餃子を作られていた見事な手捌きは忘れ難いです。小さな球体だった生地が、先生の手にかかるとあっというまにもちもちの皮になり、その中に黒豆の具を収めて、指先で2,3回握るとプリっとした美味しそうな餃子があっという間に出来上がる。餃子が何よりの大好物である私は、本草学院で薬膳を学べてよかったと確信した瞬間の一つでした。
当学院:本草薬膳学院で学んだことを現在どのように活かしていますか。また、今後どういった活動をしていきたいですか。
小塚さん:インスタグラムで、ニューヨーク薬膳帳(newyork_yakuzencho)というアカウントを立ち上げ、ニューヨークで私が実践している薬膳を公開しています。ニューヨークには大きなチャイナタウンがあり、食材も中薬も気軽に買えます。ニューヨーク中心部のユニオンスクエアで週4で開催されているファーマーズマーケットでは、鮮度の良いアジアの野菜も、アメリカの野菜もたくさん出回っています。魚介類も新鮮で豊富です。教科書で学んだことを軸に、いろいろな薬膳を冒険しています。
薬膳の勉強と並行し、ニューヨークの調理学校でプロ養成コースを終了しました。多様な調理法、各国の料理文化を学ぶ上で、中医学の知識、視点はとても有益でした。ニューヨークで、趣味として茶道のお稽古を受けていますが、茶事や茶会で懐石料理をご提供する機会もあり、薬膳的な視点も入れたお料理を試したりします。
今後は、中医学をより本格的に学ぶことを考えています。ニューヨークには東洋医学を学べる大学があるので、通いたいです。教えたり書くことは、日本語でも英語でも好きなので、薬膳や中医学についてのセミナーなど、日本語、英語での発信を増やしていきたいと考えています。
当学院:これから薬膳を学ぼうと考えている方へのメッセージをお願いします。
小塚さん:薬膳や中医学は、一生をかけて勉強するもので、生涯にわたる財産だと、私は思っております。昨日わからなかった点が今日は腑に落ちた、という楽しみを見つけてみてください。
学費も時間もそれなりにかかります。他の同業者が気になったり、試験準備をなさっている場合は、私がそうであったように、膨大な暗記量や捉えにくい概念に、圧倒されることもあると思います。だからこそ、継続が大事なのだと思います。何度も勉強を繰り返すことのみ見えてくる世界がありますし、それこそが中医学、薬膳学の醍醐味ではないでしょうか。
国際薬膳師の試験の際、試験官の先生が「合格してからが本当の勉強」とおっしゃっていましたが、そのとおりだと思います。生涯をかけて薬膳学、中医学を学べることが楽しみです。これからもご一緒に頑張っていきましょう!
小塚 千雪
中医薬膳師通信教育コース卒業
国際薬膳師、国際薬膳調理師
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「心も体も健やかになる料理を提供したい」と思ったのが薬膳を学ぶきっかけでした