第6号  2004年12月20日 

大韓薬膳研究会主催 第一回薬膳シンポジウム出席報告

 中国、日本の薬膳ブームに続き、今、韓国も薬膳のブームとなっています。去る11月26日に釜山の海雲台BEXCOで大韓薬膳研究会が主催し、第一回薬膳シンポジウムを開催しました。
 テレビでも知られているように、韓国には、昔から中国医学、特に「本草綱目」の影響で、民間経験を通した薬房(薬店) 医学が発達してきました。1596年李氏朝鮮王朝の宣祖の命により、許浚、楊禮壽などが内医院に編纂局を設置して、中国の「漢方」理論にしたがって、15年間かけて「東医宝鑑」を編纂しました。この本の中に、内科・外科・皮膚科・小児科・針灸・按摩・薬など詳細に書かれています。特に韓国の薬草を分類し、その効能を詳しく書いてあります。
 また、19世紀中半の医学者の李済馬(1838〜1900)は「東医寿世保元」 を記しました。
 13歳で家を出て満洲などに流れた彼は、食道狭窄症という病気にかかっていたため医学に関心を持つようになりました。彼は「四象医学」という独特の学説を発表し、人間は、太陽・太陰・少陽・少陰の4種類の体質に大別されていると唱えました。この理論は今の韓医学にも強く影響をしています。
 今回の大会で大韓薬膳研究会の朴会長が「四象医学を利用した体質の鑑別法」という論文を発表しました。彼が、三陰三陽、精気、形体、春は少陰人、夏は太陰人、秋は少陽人、冬は太陽人に属することなどについて論述しました。
 1951年韓国で「漢医師制度」が成立し、中医薬も1つの医療体系として認められました。1986年の医療法改正により「漢医学」を「韓医学」に変更し、今、「韓方」「韓医」といわれています。2000年11月までに11ヶ所の韓医科大学が設立されました。卒業後、国家試験に合格すれば「韓医師」となります。
 韓医学の特徴として、韓国の実情に合わせ、国産の薬材、食材の重要性を強調しています。今回のシンポジウムの会場にヨンサン大学調理部の学生が作った薬膳の作品が展示されていました。
 案内していただいたチャ先生が「この作品は皆韓国産のお米で作ったものです。」と自慢されていました。
 今まで、韓国の薬膳の話がよく耳に入りましたが、いつも、朝鮮人参、キムチレベルのものと感じていました。去年の夏にソウルの博物館で韓国に100種類以上のキムチがある話を聞いてびっくりしました。町で薬膳料理を探しましたが、ほとんど“サムゲタン”だけでした。
 現在の韓国では、ヨンサン大学をはじめ、来年からいくつかの大学で薬膳調理学部が設置され、本格的な薬膳教育がスタートすることが決まったようです。この流れによって、大学の教授、食と関わる会社、メーカー、料理店などの有志が大韓薬膳研究会を設立しました。
 今回の大会は、中国同仁堂研究所の張静所長が「中国薬膳の現状と発展方向の研究」、日本本草薬膳学院学院長・日本国際薬膳師会会長の辰巳洋が「日本薬膳の現状と問題」について論述を発表しました。

 韓国ではじめて行った薬膳シンポジウムですが、300人ぐらいの参加者が熱心に論文の発表を聞き、展示されている薬膳の料理を試食しました。
 ヨンサン大学と日本本草薬膳学院が今後の交流と協力について、意見を交わしました。

(海洋)