冬の養生と薬膳
本草薬膳学院学院長 劉 海洋

冬は立冬(約11月8日)から立春(約2月4日)までの立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒という六つの節気を含めた一年中一番寒い季節です。自然界は草木枯れ、動物冬眠の状態となり、この大自然に生きている人類は「天人合一」に従って、体の陰陽消長が緩慢状態となり、身体を休ませる時期に入り、養生として「蔵」、貯蔵することが重要とされている。薬膳としては温陽、?寒、通経活絡の献立が挙げられる。
 気候特徴
冬の気候の特色は寒くて乾燥している。冬の邪気として寒邪、風邪(春の篇に参照)、燥邪の特徴は下記のようになる。
 寒 邪
一、 寒は陰邪で、陽気を傷つけやすい:
寒邪が体内に侵入すると、まず、身体を保護している陽気を傷つける。
患者は悪寒、悪風、胃痛、腹痛、下痢、冷えなどの症状が現れる。
二、 寒邪の凝滞 性により疼痛を司る:
寒邪の凝滞性により気血の循環がスムーズにながれなくなり、痛みの症状が出てくる。
三、 寒邪の 収引性:
寒邪で気血の循環が悪くなり、筋脈や関節が 痙攣をを起こし、四肢の屈伸不利になり、高血圧、心脳血管疾患などの発病率が高くなる。
 燥 邪
一、 燥は陽邪で乾燥性を持ち、津液を損傷しやすい:
燥邪は口、鼻から侵入し、津液を消耗するので、よく、口鼻乾燥、咽喉疼痛、渇き、皮膚の乾燥などの症状が現れる。
二、 肺を傷つけやすい:
肺はデリケートな臓器であり、滋潤を好み、乾燥を憎む特徴があるので、燥邪は肺にとってもっとも喜ばれないものです。だから、冬によく咳嗽、咯痰、喘息、胸痛などの症状を起こす。
 身体と自然の関係
中医学の理論から見ると、五臓の働きはそれぞれの季節とつながっている。春になると肝機能が盛になって来る、夏は心機能がよく働く、秋は肺気が収斂、容平になり、冬になると、五臓六腑から運んできた精華物質を貯蔵するために腎の働きが活発になる。
 発病率が高い疾病
冬の寒冷、乾燥している気候特徴によりインフルエンザが流行りやすくなる。
子供として:麻疹など伝染病、急性気管支炎、肺炎。
女性の場合:冷え症、生理痛、生理不順などの症状がひどくなる。
また、いくつかの慢性病も誘発しやすくなる。
例えば:慢性気管支炎、喘息、心筋梗塞、狭心症、脳血管疾病、リウマチ、関節・筋肉の疼痛、腎臓病などが挙げられる。
 養 生
一、 精神調養
激しい感情の変動をコントロールし、ストレスを解消し、精神安静を保つことを大事にする。
二、 日常生活
「早臥晩起、必待陽光」、寒い冬季に陰陽のバランスは化気より成形の方が強いので、睡眠時間を保ち、陽気を潜伏させ、陰精を貯蔵するのに対して役に立つ。五臓六腑が腎臓に通じているため、冬のセックスを控えて、補養腎精を大事にすること。
三、 防病保健
これらに対して、子供、女性、老人の場合、保温が大事なことであり、体質を増強し、抵抗力を高め、適度の運動などをして養生に努める。
 献 立
献立をたてる原則として、「秋冬養陰」がある。つまり、滋陰潜陽という方法を使用する。冬は、身体を養うのに一番よい季節といわれる。滋補の方法には食補と薬補の二種類がある。
薬補として、下記の生薬をよく用いる
補気類: 人参、黄?、黄精、茯苓、山薬、?苡仁、大棗、扁豆、蜂蜜
補血類: 熟地黄、当帰、何首烏、龍眼肉、阿膠、枸杞子、桑椹
滋陰類: 百合、玉竹、女貞子、麦門冬、石斛
補陽類: 菟糸子、鹿茸、紫河車、肉?蓉、杜仲、冬虫夏草、胡桃、蛤?

食補として、たくさんの素材を使える
補気類: 米、粟、大麦、山薬、じゃが芋、人参、いんげん、椎茸、豆腐、栗、蜂蜜、鶏肉、鵝肉、兎肉、鶉、牛肉、豚の胃袋、豚のまめ、たうなぎ、青魚、?魚、泥鰌
補血類: ほうれん草、人参、木耳、松の実、落花生、桑椹、ライチ、葡萄、豚肉、羊肉、レバー、豚足、牛肝、羊肝、スッポン、なまこ、なま鰹(かつお)、烏賊
滋陰類: 糯米、野菜、豆腐、銀耳、木耳、百合、向日葵の種、胡麻、蜂蜜、乳製品、蔗、西瓜、バナナ、りんご、梨、キウイフルーツ、柿、いちご、烏骨鶏、鴨肉、豚肉、魚類、ムール貝、亀肉、スッポン、牡蛎、蟶、蟹
補陽類: 胡桃、羊肉、鶏肉、鹿肉、えび、なまこ
温裏剤: 韮、唐辛子、肉桂、乾姜、山椒、茴香、黒砂糖、?魚、草魚
理気類: 蕎麦、薤白、蜜柑、刀豆、グリーンピース、ジャスミン茶
活血類: チンゲン菜、慈菰、桃仁、酢