尊敬する中国薬膳研究会周文泉会長
尊敬する北京中医薬大学高思華学長
尊敬する皆様

  この度の中国薬膳研究会・北京中医薬大学と日本本草薬膳学院・日本国際薬膳師会・本草薬膳研究会・東京栄養士薬膳研究会・日本国際中医師会との合同による薬膳シンポジウムの開催を心よりお祝い申し上げます。
 中国薬膳研究会と私共本草薬膳学院とはすでに10数年の交流と友情があります。2年前に私達が北京中医薬大学を訪問した際、ご多忙にも関わらず高思華学校長と接見ができ、今日のシンポジウムの基礎を築き上げました。去年の夏、劉海洋先生と海老原英子先生とご一緒に北京中医薬大学を訪問する機会が得られました。その際同大学国際交流処の張立平先生にお目にかかり、先生から中医学についてのたいへん貴重なお話を伺うことができました。私どもたいへん嬉しく思っております。その時張先生から、中医学に基づく薬膳の普及と発展のために中国と日本が互いに協力し合ってなにか新しい活動を始められないかというご提案をいただきました。このご意見に私ども深く賛同し、早速仲間たちと相談し本日の会の開催を企画するに至りました。当然のことながら開催実現に向けて張先生はじめ中国側の先生方にたいへんなご苦労をおかけすることとなりました。私ども日本側は先生方のご尽力とご厚情に対して心より感謝申し上げております。
 いつの時代にあっても長寿を果たすことは人間にとっての最大の願いであり、永遠の課題であります。社会の頂点に立つ権力者から一般の庶民にいたるまで、すべての者は有りとあらゆる手段を尽くして長寿を果たすべくこの課題に取り組んできました。このことは現在に至るも変わることはありません。健康長寿は人類共通の宿願といえるでしょう。中国の長い歴史の中で、とくに中医学の理論はこの点について弛むことなく研究の歩みを続け発展してきました。
 今日の科学技術の進歩はまことに目を見張るものがあり、人類は遠く宇宙までも行くことを可能にしました。しかしながらそのような時代にあっても、われわれ人間は変わることなく依然として大自然の中に在り自然が定めたルールにしたがい生活を続けております。たとえ、いかに科学技術が発達したとしても、われわれ人間は生物としての存在から外れることはできません。すなわち、われわれ人間は、何時の時代にあっても長寿への願望を失うことはないのです。言い換えれば、「健康」を基礎におく中医学の理論は、常にその時代の最先端をいく理論として位置づけられることになるのです。
今日われわれの生活では現代栄養学の考えが主流となっています。しかしこれだけでは不十分なことを誰しもが認めるところです。私はこれらの知識に中医学の叡智を取り入れ、「天人相応」と「整体観念」を基とする食生活の実践に向けて励むことこそが必要ではないかと考えます。このことは現代に生きるわれわれにとっての最も重要課題であり、食生活を指導する立場にある者が目指すべき目標ではないでしょうか。われわれはこのような活動を通して、人類に共通する願いである「健康長寿」を全うする「鍵」の獲得が可能となるのです。中国の先生方と私ども日本の研究者たちとが本日ここに一堂に会して討議を進め、人類に役立つ薬膳学の研究に何らかの成果をもたらすことができたならば本当に素晴らしいことと思います。
 本日はまた、日本国際薬膳師資格認定書の授与式を同時に行わせていただきます。中国薬膳研究会の先生から直々に認定書を授与していただけることは一同にとって望外の幸せです。私どもは長い間にわたって劉海洋先生のご指導の下で中医学の理論に基づく薬膳を学んできました。私どもは現代医学の教育を受けてきましたので、聞き慣れないことばに戸惑い、異なる理論を理解するのに苦労しました。また社会人になってからの学習は、経済的にも時間的にも、また体力的にも大変な困難と忍耐を要求されます。多くの苦しみを見事乗り越えて本日の授与式に臨まれた多くの方々には、今日という日が生涯忘れられない思い出となることでしょう。同時にまた、これから先も中医学に基づく薬膳の発展のために尽くしていこうという思いで皆さんが新たな一歩を踏み出す日でもあることを信じて疑いません。
 最後に、この会の開催にあたってご尽力下さった周文泉会長、高思華学長、張立平先生、それに中国薬膳研究会・北京中医薬大学の先生方、日本本草薬膳学院・日本国際薬膳師会・本草薬膳研究会・東京栄養士薬膳研究会・日本国際中医師会の先生方、皆様方に深甚の謝意を表させていただきます。今後私たち皆更なる発展を遂げることを強く希望し、お祝いの挨拶とさせていただきます。

2010年5月27日

日本本草薬膳学院顧問
日本国際薬膳師会副会長
本草薬膳研究会会長
鷲見美智子